じん肺健康診断
この健診の対象者は?
じん肺法施行規則に定められた粉じん作業のいずれかに常時従事する、または従事したことのある労働者を対象としています。
に行わなければなりません。
じん肺健康診断の結果、管理区分が管理2または管理3となった労働者(じん肺有所見者)には「肺がんに関する検査」を行うこととなっています。
何を調べる?
・粉じん作業についての職歴の調査
・胸部エックス線検査(直接撮影)
※胸部エックス線写真にじん肺の所見が認められた場合、胸部に関する臨床検査、肺機能検査等の追加検査を行います。
健診後は何をする?
有所見者がいた場合は、エックス線写真を都道府県労働基準局長に提出し、管理区分の決定を受けます。
「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書」に記入して、所轄労働基準監督署長に報告してください。
所見があったらどうする?
作業環境管理(現場の換気・局所排気装置の設置等)や作業管理(作業時間や使用の頻度、保護具の使用等)の再確認をしましょう。必要に応じて、改善措置を講じましょう。
健診の結果、「要受診」となった場合は、専門医にご相談ください。
有機溶剤健康診断
この健診の対象者は?
「有機溶剤業務に常時従事する労働者」とされていますので、継続的あるいは定期的に有機溶剤暴露を受ける労働者を対象としています。
有機溶剤の健康診断の実施は6ヵ月以内ごとに1回となっています。
何を調べる?
- 業務歴の調査
- 有機溶剤による健康障害の既往歴の調査、有機溶剤による自覚症状及び他覚症状の既往歴の調査、尿中の蛋白の有無の検査並びに医師が必要と認めて行った場合の貧血検査、肝機能検査、腎機能検査及び神経内科学的検査の既往の異常所見の有無の調査
- 有機溶剤による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
- 尿中の蛋白の有無の検査
- その他
※使用している有機溶剤によって検査項目は異なります。
健診後は何をする?
「有機溶剤健康診断結果報告書」を作成し、遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告する必要があります。
所見があったらどうする?
特殊健康診断で異常があったからといってすべて業務が原因とは限りませんが、作業環境管理(現場の換気・局所排気装置の設置等)や作業管理(作業時間や使用の頻度、保護具の使用等)の再確認をしましょう。必要に応じて、改善措置を講じましょう。
健診の結果、「要受診」となった場合は、専門医にご相談ください。
腰痛健康診断
この健診の対象者は?
- 重量物取扱い作業
- 重症心身障害児施設等における介護作業
- 腰部に過度の負担のかかる立ち作業
- 腰部に過度の負担のかかる腰掛け作業・座作業
- 長時間の車両運転等
当該作業へ配置替え前およびその後6ヵ月以内ごとに1回実施することになっています。
何を調べる?
(配置前:例)
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状(腰痛、下肢痛、下肢筋力減退、知覚障害など)の有無の検査
- 脊柱の検査・神経学的検査・脊柱機能検査・腰椎のエックス線検査
健診後は何をする?
「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長に報告されることをお勧めします。(この健診は、法律ではなく通達によるものなので、記録の保存・報告は義務ではありませんが、当該業務を行っていた方に将来健康影響が出た際の重要な参考となります。)
所見があったらどうする?
特殊健康診断で異常があったからといってすべて業務が原因とは限りませんが、作業環境管理(作業の状況等)や作業管理(作業時間や姿勢の工夫、配置転換等)の再確認をしましょう。必要に応じて、改善措置を講じましょう。
健診の結果、「要受診」となった場合は、専門医にご相談ください。
VDT作業健康診断
この健診の対象者は?
「VDT作業に常時従事する労働者」とされています。
VDT作業の区分に応じて配置前および定期に健康診断を実施する必要があります。作業区分(A、B、C)は作業の種類、作業時間により分けられます。
何を調べる?
(配置前:例)
作業区分Aの作業者
- 業務歴および既往歴の調査
- 自覚症状の有無の調査(問診)
- 眼科学的調査
- 筋骨格系に関する調査
- その他医師が必要と認める検査
を行います。
作業区分により検査項目は異なります。
健診後は何をする?
「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長に報告されることをお勧めします。(この健診は、法律ではなく、通達によるものなので、記録の保存・報告は義務ではありませんが、当該業務を行っていた方に将来健康影響が出た際の重要な参考となります。)
所見があったらどうする?
特殊健康診断で異常があったからといってすべて業務が原因とは限りませんが、作業環境管理(機器及び机・椅子等の調整や個人に合った画面等の調整)や作業管理(作業時間や作業方法等)の再確認をしましょう。必要に応じて、改善措置を講じましょう。
健診の結果、「要受診」となった場合は、専門医にご相談ください。
騒音作業健康診断
この健診の対象者は?
等価騒音レベル85dB以上になる可能性が大きい作業場の業務に従事する労働者です。雇入れ時、または当該作業への配置替え時および6ヵ月以内ごとに1回、定期に実施することになっています。(但し作業環境測定の結果等価騒音レベルが85dB未満の場合は定期の健康診断は省略可)
何を調べる?
(雇入れ時:例)
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- オージオメータによる聴力検査
- その他医師が必要と認める検査
健診後は何をする?
「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長に報告されることをお勧めします。(この健診は、法律ではなく、通達によるものなので、記録の保存・報告は義務ではありませんが、当該業務を行っていた方に将来健康影響が出た際の重要な参考となります。)
所見があったらどうする?
特殊健康診断で異常があったからといってすべて業務が原因とは限りませんが、作業環境管理(音を遮るよう耳栓等を使用する等)や作業管理(作業時間や配置転換等)の再確認をしましょう。必要に応じて、改善措置を講じましょう。
健診の結果、「要受診」となった場合は、専門医にご相談ください。
電離放射線健康診断
この健診の対象者は?
放射線業務に従事し管理区域に立ち入る労働者です。雇入れ時または当該業務への配置替え時および6ヵ月以内ごとに1回、定期に実施することになっています。
何を調べる?
- 被ばく歴の有無の調査およびその評価
- 白血球数および白血球百分率の検査
- 赤血球数の検査および血色素量またはヘマトクリット値の検査
- 白内障に関する眼の検査
- 皮膚の検査
*雇入れ時または配置替え時の健康診断では、線源の種類等に応じて 4を省略できます。
*定期に行う健診については、医師が必要でないと認めるときは、2~5 の全部または一部を省略できます。
健診後は何をする?
事業者の責任で、個人ごとの結果を保存することと、事業所全体の結果を「電離放射線健康診断結果報告書」に転記して、労働基準監督署長に報告することとされています。
また、電離放射線健康診断個人票も事業者の責任で30年間保存します。(退職された場合も保存します。)
所見があったらどうする?
特殊健康診断で異常があったからといってすべて業務が原因とは限りません。業務よりも日常の体調や作業と無関係の疾患が原因の場合もあります。特に白血球数および白血球は、風邪やアレルギーやその他の疾患でも変化します。しかし、放射線業務が原因であった場合は、将来の発がん性が高まりますので、作業環境や作業管理の再確認をする必要があります。
健康診断の結果「要受診」となった場合は、専門医にご相談ください。